ブラックジャックによろしくの佐藤秀峰が、
もっとも影響を受けたマンガと紹介していた作品だ。
まずキャラクター造形が素晴らしい、書割で記号的なキャラクターとは
根本から異なる、強力で欲望たるありのままの人間をこのマンガは描いている。
また、そんな欲望の主体が作り出したいびつな東京という街を批評するかのような
シニカルな視点も独自性を際立てている。
ICHIGO(1) 関連情報
ダッシュ勝平、F−エフー(私も愛読していました)、などのヒット作で知られる六田登さんの描き下し新作です。
物語の舞台は東京の郊外の街、国分寺、イケメンの人のよさそうなお巡りさん、街の誇りのスプリンター石川兄弟、ごくごく平凡な街で、人々は平穏に暮らしているように見えます。
しかし、よく見てみると、みんなどこかおかしい。人のよさそうなお巡りさんは、実はそれは見せ掛けだけで、街の誇りのスプリンター兄弟の弟は、自身の運転ミスで両親を死なせ、そのショックで車いす生活、兄もそのショックで下着泥棒に生きがいを見出す始末。
その他、自身をお金持ちの娘と偽っている少女、そして、その少女を金銭目的で誘拐する男、予知能力のあるパチンコ屋の店員、
最初は、正義感溢れる熱血先生でしたが、あることがきっかけで引き籠りに陥った校長先生、その先生にイジメから救われたが、デリヘル嬢になった教え子、人殺しをしたと錯覚しおかしくなった権田、たばこを売らないタバコ屋のおばあちゃん、石川兄から下着を購入するポール・ダンスを練習する変態のおとこ、そして、その妻・・・・・
犯罪に手を染めたり、間違ったことをしたり、道に外れた事をしている人々が、ふとしたことで相手のことが見えるようになり、自身の行動がわかるようになります。そのきっかけになったのは、例の東日本大震災です。著者の六田さんもあとがきで書いておられますが、この震災は、人々の心に大きな衝撃を与え、その行動に大きな影響を与えました。そんな人々の変貌を少し極端すぎると思いますが、六田さんは、見事に描いています。
そして、六田さんの心の底に流れるもの、心境を表すものは、相良直美さんの「世界は二人のために」です!!!
世界は二人のために、二人は世界のために 関連情報